機能性ディスペプジア(機能性胃腸症) のお話

2017/09/26

今回のお話は、機能性ディスペプジアについてですが、あまり馴染みのない病名かもしれませんが
消化器内科医にとっては、よく遭遇する疾患のひとつとなります。機能性ディスペプジアとは
ガイドライン上、症状の原因となる器質的、全身性、代謝疾患がないのにもかかわらず、慢性的に
心窩部痛や胃もたれなどの、心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患と定義されております。
小難しく表現されておりますが、簡単に言い換えますと、胃潰瘍や胃癌、胃クローン病や、
好酸球性胃腸症、糖尿病、膵臓癌・・・等の器質的疾患を除外した上で、胃もたれや心窩部不快感を呈する
疾患と定義されております。日本における有病率は健診受診者の11%~17%とされていて、上腹部
症状を訴えて受診した患者さんの約50%が機能性ディスペプジアと言われております。原因としては
胃排出障害、内臓知覚過敏、社会的因子、胃酸分泌、ピロリ菌感染、心理的要因、遺伝的要因等が
関与しているといわれております。また喫煙やアルコール摂取、不眠、高脂肪食などの生活習慣も
関連しているといわれております。診断は内視鏡検査で胃潰瘍や胃癌、好酸球性胃腸症、胃クローン病等を
除外する必要があり診断には内視鏡がほぼ必須であることはガイドライン上も推奨されております。
内視鏡診断が必要な理由としては、血液検査などでの有用なバイオマーカーがないことにもよります。
またCT、超音波により膵臓癌、胆嚢疾患、肝疾患を否定するのも機能性胃腸症診断にはガイドライン上
推奨されておりするべき検査となります。
それでは機能性胃腸症(FD)の治療です、機能性胃腸症でますはガイドラインで強く推奨されているのは、
酸分泌抑制薬、消化管運動改善薬です。またピロリ菌陽性の方に関してはピロリ菌除菌も重要な推奨項目
となっております。また漢方や抗うつ薬なども場合によっては使用が推奨されておりますが、そこまでの
重症症例に関しては頻度は高くありませんので、機能性胃腸症の症状が思い当たるようであれば
一度当クリニックに是非ご相談ください。

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