胃MALTリンパ腫 のお話

2017/11/05

 消化器内科疾患のメイン疾患は既にコラムにすでに載せた影響で、ややコアな疾患の解説に
なってきました。胃MALTリンパ腫は胃にできる悪性リンパ腫の約40%を占めると言われております。
またそのうちの約90%がピロリ菌感染が関連しております。MALTリンパ腫はピロリ菌に特異的な
CD4+T細胞(リンパ球の一種)の増殖と、活性化が誘導され産生されるサイトカインの刺激によって
B細胞(リンパ球の一種)が増殖し腫瘍化していくと考えられております。 
 初期の段階ではほとんど症状をだすことはなく胃カメラ(上部内視鏡検査)
により発見されることがほとんどです、また大きくなると胃部不快、つかえ感、倦怠感など症状を示す
こともあります。さらに進行すると発熱、盗汗、体重減少なども認めますので注意が必要です。
検査は血液検査や確定診断には胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)による組織採取が必須になります。
また進行している場合にはCTなどにより病気分類が必要になります。病気分類は現在Lugano分類が
使用されております。Lugano分類を簡単に説明しますと、Ⅰ期では胃に病変が限局しており
所属リンパ節の進展であればⅡ1期、遠隔リンパ節の腫進展であるとⅡ2期、隣接臓器浸潤はⅡE期
、横隔膜を超えるリンパ節腫大はⅣ期と判断されⅢ期はありません。治療はⅠ期、Ⅱ1期はピロリ菌の
除菌療法がコンセンサスが得られた治療であり、寛解率(リンパ腫は血液疾患であり完治という概念が
なく治癒に近い状態でも寛解という言葉を使用します)は80%と治療効果が高くスタンダードな治療
であります。また除菌治療が奏功しなくても放射線治療の寛解率も高く90%以上といわれております。
Ⅱ2以降のステージのMALTリンパ腫では局所療法では難しく、化学療法に頼ることとなります。

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