虫垂炎(通称盲腸) のお話

2017/11/03

 今回は虫垂炎のお話です。虫垂炎=通称 盲腸 ですが、最近はデータの蓄積により以前より詳細に
わかってきております。急性虫垂炎は10代~20代におこることが多い疾患です。
年齢層にもよりますが、男女比ではやや男性に多く3:2の割合で男性が多いです。虫垂炎といえど
侮ってはいけません、過去には(1940年代)人口10万人当たり8.1人の死亡が認められていた
疾患です。その後1970年代には10万当たりの死亡率は1人未満と、医学の進歩とともに歩んできた疾患
であることは間違いありません。病態学的には虫垂の粘膜潰瘍が生じることや虫垂の閉塞によるもの
が大多数であります。虫垂炎の30%にエルシニア(細菌の名前)感染が認められることより
一部ではエルシニアに感染したことが原因とも考えられております、また糞石による閉塞も原因の一部
であります。症状としては初期の段階では、虫垂自体は右下腹部にありますが、内臓痛といって
上腸間膜動脈を逆に走行する 内臓神経を経由して上腸間膜神経節に至り、へそから上の心窩部あたりが
痛むことが多くあります。炎症が進展してくると腹膜炎により右下腹部に痛みが限局してくることが多いです。
診察上炎症が進展すると右下腹部の圧痛や反跳痛を示してきます、初期の段階では圧痛のみのこともあります。
診断には採血による炎症反応の確認やCTによる画像診断が最近の流れではあります。治療については以前は
全例手術という時代もありましたが、2015年の海外の論文では、単純性虫垂炎の場合には抗菌薬による治療も
選択肢であることが示されました。しかしあくまで単純性虫垂炎の場合のみであり、治療法に関しては
ガイドラインがあるわけではないため、手術と抗菌薬治療などについては施設により若干の
差異がありますので、担当の先生と相談していきましょう。

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