便秘症 のお話

2017/11/12

今まで便秘診療に関しては、ガイドラインというものはなく、アメリカの便秘ガイドラインをチェックする
または個々の論文をチェックするくらいしか、実地の医師も診療の手立てが無い状況でありましたが、今回
日本でも慢性便秘症ガイドラインが作成されたこともあり、今後は便秘診療の画一化がすすみ、個々の病院
による差が減っていくものと考えられます。そこで今回は便秘についてもう少し掘り下げてご紹介致します。
便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と今回のガイドラインでは
定義されました。また今までは痙攣性便秘、弛緩性便秘、薬剤性便秘などの分類もありましたが、最新の
ガイドラインでは器質性便秘(排便回数減少型、排便困難型)、機能性便秘(排便回数減少型、排便困難型)
に大きくわかれました。また診断基準が作成されたことも、今までの便秘診療では画期的なことかと思われます。
疫学的には、便秘は女性に有意に高い疾患でやややせている方に多いというデータがあり、便秘の方と快便の
方を比較すると便秘の方に朝食摂取していない人が多く、排便時間が不規則である方には便秘が多いという
国内データがあります。また便秘と大腸癌の関係は昔からも経験的には言われておりましたが、海外の大規模
研究で非便秘の方に比べ大腸癌のリスクが約1.5倍で大腸ポリープでは約2.6倍のリスクというデータが
わかりました。便秘の診療の際にするべき検査としては、血液検査は必要とされ、器質的疾患の除外のため
にはレントゲン、大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)も必要とされます。食物繊維の少ない方には食物繊維の
摂取は大切で、ヨーグルトや乳酸菌食品も有効とされる論文があります。治療としては酸化マグネシウムは有用な
便秘薬ではありますが、不整脈による突然死のリスクなどもあるため、採血によるモニタリングが
ガイドライン上は推奨されており、市販の酸化マグネシウムの使用をしている方も、たまに内科での採血による
血中マグネシウム濃度の検査は受けておいた方がよいですのでお気をつけください。さらなる治療に関しては
やや専門性が高くなることもあり、クリニック受診をおすすめします。

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