潰瘍性大腸炎の再発とビタミンD?
2018/05/20
昨今ビタミンDが様々な自己免疫疾患や、慢性炎症性疾患の炎症を抑える作用があることを示す
論文が多く見受けられますが、潰瘍性大腸炎においてもその再発にビタミンDの低値との関連が
示唆されております。ビタミンDの作用としては、血中のカルシウムイオンの恒常性の維持や骨代謝
に対する作用だけではなく、前炎症性Tヘルパー1応答を抑制して、抗炎症Tヘルパー2を増やすこと
がわかっていたり、細胞間の細菌殺菌作用を有するマクロファージ調節作用や、腸管粘膜バリアの
保護作用、免疫応答にも関与していることがわかっております。大腸内視鏡検査後に経過観察を
している、潰瘍性大腸炎の寛解期(症状が落ち着いて状態で安定している時期)の症例で、内視鏡所見
と病理所見、血清25ヒドロキシビタミンDを比較して評価した論文では、再発症例では有意に
血清25ヒドロキシビタミンDの値が低かったという海外の論文があり、今後の潰瘍性大腸炎やクローン病
などの治療に、ビタミンDが追加されるかもしれませんね!まだ治療ガイドラインなどに収載されている内容
ではないですので、現在は現在の治療ガイドラインに従うのがエビデンスに基ずく科学的な治療とは思われます。
免疫の安定化ということは院長の花粉症もビタミンDの内服でよくなるかな??なんて
今後の論文や報告を引き続き注視していこうと思います。