ある地方都市と医師のピロリ菌への取り組み
2018/03/11
本日は地方都市での先進的なピロリ菌への取り組みをご紹介します。ピロリ菌の感染は、一般的には幼少期に
ピロリ菌に汚染されたものが口の中に入り感染するため、ピロリ菌陽性の親からの感染(口~口感染)や
幼少期の井戸水使用、非水洗便所の使用、施設内感染(保育所や幼稚園)などの環境要因が考えられております。
当院でもお子様をもつ、ピロリ陽性の親御さんからの、お子様のピロリ菌感染の不安をご相談をいただくことが
あります。厚生労働省の取り決めにより、健康保険をつかってのピロリ菌診療(主にUBT:尿素呼気テスト、
血液検査、除菌治療)は上部消化管内視鏡(胃カメラ)をすることが必須になっておりますが、お子さんに
上部消化管内視鏡(胃カメラ)を受けてもらうのもちょっと非現実的であると言ったところから、自費診療で
UBT尿素呼気テストや血液検査、除菌治療などの医療をうけていただくことになってしまいます。
そんなジレンマを*佐賀県では佐賀大学医師、県知事、県教育委員会、佐賀県各市町村が一体となって
若年者ピロリプロジェクトを立ち上げ、2016年から佐賀県の公費助成で佐賀県全中学校で検尿
(尿中ピロリ抗体)陽性者には、便中ピロリ抗原検査を行い、両方の陽性者の方には除菌治療を受けていただく
といった方法で実施しているようです。*(Japanese Journal of Helicobacter Research Vol 19 No2 72-75)
ピロリ菌の除菌は、年齢が低ければ低いほど胃癌発症リスクが下がること専門家の間では考えられており
将来的には佐賀県出身者の胃癌はいなくなるかもしれませんね。そういった面では佐賀県住民がうらやましく
なってしまいますね。