現代日本の結核事情

2018/05/06

 過去には結核は国民病とも言われ沖田総司、高杉晋作、有栖川宮威仁親王、石川啄木、樋口一葉
(敬称略)も命を落とした病気であります。2016年の新登録結核患者数は17625人で罹患率は
人口10万人に対して約14人でやや東北地方には少なく、大都市や西日本に多い傾向にあります。
逆にこれだけ医療が進歩した現代で、癌も克服できることが多くなってきた時代でも患者数0人でない
のが結核の根の深さや、多剤耐性結核菌の問題を浮き彫りにしているともいえるかもしれませんね。
しかし全体の数からしてみれば1951年には人口10万人に対して約700人であった時代から
比べると著明に減少はしております。
 また結核患者さんの最近の傾向として日本全体が高齢化社会となっているのと同様に結核患者さんも
高齢化してきています。それは高齢になり免疫状態が低下してくることも関係していて古い感染巣で
休眠状態になっていた結核菌が再燃することも関連していると考えられております。
 また若い患者さんの一部にはアジア圏からの留学生や技能修習生も入っており、今後の入国前健診
などの課題も新たに問題提起されています。
 結核の診断としては喀痰検査やクオンティフェロン、喀痰のPCR法などが初期診断の基本となって
おります。治療としては薬剤感受性結核であることが確認できれば、抗生物質リファンピシンRFP、
イソニアシドINH、ピラジナミドPZA、エタンブトールEBなどを使用した4剤を2か月。その後維持療法
としてリファンピシンRFP、イソニアシドINH4か月行うのがスタンダード治療となっておりますが、
耐性菌の問題や抗生剤に対するアレルギーや副作用があれば、さらに抗生物質を変更して使用していく
ことになります、が治療は多くの方が専門施設での治療になりますのでこれ以上細かいことは今回は触れずに
いきます。長引く咳などがあればレントゲンなどの検査をしていきますので御相談ください。

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