腸内細菌 のお話

2018/01/16

 当院は消化器内科を標榜していますので、現在の腸内細菌の話題に触れないわけには
いかないですか?ね。現時点の論文レベルの腸内細菌の話題を勉強してみましょう!!
正しいか正しくないかは別としてロシアのメチニコフは(ノーベル賞学者)「腸内細菌がつくる
腐敗物質こそが老化の原因で、それを防ぐことができれば不老長寿も可能である」という学説を
提唱しました。メチニコフは長寿者が多いブルガリア旅行中の見聞から、ヨーグルト(乳酸菌)が
長寿に有用であると考えました。現在のプロバイオティクスの概念の起源かもしれませんね。
そこから約100年ヒトの消化管には約1000種類、100兆個の細菌が存在し、腸内細菌のもつ
総遺伝子数は、ヒトのもつ遺伝子の100倍以上になることがわかっております。さらに、最近では
大腸癌、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患などの病態形成に腸内細菌叢が重要な役割を
示していると言われています。例えば過敏性腸症候群では腸内細菌の構成の異常や、腸内細菌多様性の変化の
存在により過敏性腸症候群の病型が、プロファイリングされ始めています。また慢性便秘症の方では
ラクトバチルスやビフィドバクテリウムの減少との関連が論文で報告されており、最新手段(最終手段?)
としての糞便移植も薬剤よりも効果を示す報告もちらほらみかけるようになりました。まだまだ確定的な
内容ではないこともありますので、今後の発展に期待しましょう。ガイドラインレベル(治療指針レベル)
まで腸内細菌がくれば、その時にはさすがに、当クリニックでもより腸内細菌や糞便移植に積極的に
ならなければいけない時代も来るかもしれませんね。

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