腸閉塞(イレウス) のお話
2017/11/04
今回は腸閉塞のお話です。腸閉塞とは、よく耳にする病気ですがその原因は実は多岐に
わたっております。その病態は、なんらかの原因で消化管の閉塞が起こり、
閉塞部より口側の腸管に摂取物、腸液、腸管ガスなどが貯まってしまい、腸管内圧の上昇がおこり
小腸では1日8Lもの消化液が分泌され再吸収されていますが、吸収ができなくなり8L(誤差はあります)
分の血管内脱水=脱水をおこしてしまい、血圧低下等も場合によってはおこしてしまう
悪循環にはまってしまう疾患です。原因としては、腫瘍が通過障害となっていたり、
腸管が捻転してしまったり、腸重積、ヘルニア嵌頓などの物理的閉塞が原因と、腸管の動きが悪い、
機能的な腸閉塞(腹膜炎の炎症等により腸が動かない、脊椎損傷、腹部打撲による炎症、
薬剤による腸管運動低下)の2つに分かれます。症状としては腹痛、腹部膨満、嘔吐、排ガス排便の停止、
場合によっては血便などです。診断はレントゲンによる二ボー像(液体貯留像)や小腸のケルクリングひだの
確認やCTによる腹水、Whirl sign(腸の捻転部が渦巻き状になっている)、腸管壁の造影効果の低下の
確認によってなされることが多いです。
治療はさらに摂取物が入ると腸管内圧の上昇をきたし悪化することにより、禁食が基本となります。
また水分補充のための点滴や、貯留物の排除のためにイレウス管の挿入、抗生剤に関しては賛否両論が
ありますが、それでも改善しない場合には外科的治療(手術)も検討されます。