虚血性腸炎 のお話
2017/08/23
虚血性腸炎とは大腸を栄養する血管の問題で、血流が減り大腸粘膜が酸素不足や栄養不足に
陥り血便、下痢、腹痛で突然発症する病気です。下行結腸、S状結腸は下腸間膜動脈
が栄養血管なのですが、この部位の交通枝が解剖学的に発達していないため、虚血に陥りやすく
下行結腸、S状結腸に好発する病気です。動脈硬化の影響や便秘による影響などで比較的年齢は高めの方
糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方、便秘がちな女性におこりやすい病気です。診断としては血液検査で、
炎症反応が高いことがあります、またCTで下行結腸、S状結腸の浮腫や虚血を確認することや、
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)では縦走潰瘍などが特徴的です。教科書的には大腸のバリウム検査で
母指圧痕像なども言われておりますが、最近はあまりバリウムで診断することは少ないです。
治療としては多くの場合が禁食(腸管安静)、点滴(体液カロリー補充)で改善しますが、
虚血の範囲が広かったり虚血の状態が悪いと(腸管壊死など)手術になる場合もありますので
注意が必要です。