食道裂孔ヘルニア のお話

2017/10/07

 今回は食道裂孔ヘルニアについてです。
上部消化管内視鏡(胃カメラ)を受けたことのある方では、比較的言われたことのある方も多い疾患
です。解剖学的には食道を胃に向かって降りていくところで、食道裂孔という横隔膜の穴があり、
その穴を通って食道は胃に移行していきます、正常ではその食道裂孔というところは横隔膜の
筋繊維束が食道を取り巻いていて、胃の内容物が食道に逆流してこないように締まっています。
しかし妊娠、出産、肥満や先天的な要因、加齢性の横隔膜筋肉の萎縮によるその裂孔の拡大などにより、
本来食道のある場所に胃が胸の方へ入り込んでいることを食道裂孔ヘルニアといいます。
また食道裂孔ヘルニアには滑脱型、傍食道型、その両方の混合型、巨大型に分類されます。
多くの方は健診の上部消化管内視鏡(胃カメラ)によって発見され、その頻度は約10~30%と言われ
ております。胃と食道の境目がずれてしまっているため、逆流性食道炎の原因になり、げっぷ、胸やけ、
嘔吐、呑酸などの症状や、さらに長期化や重症度が増すと、食道潰瘍や吐血の原因になる方も
いらっしゃいます。症状や軽症な方では特に治療の必要性もありませんが、逆流症状や食道潰瘍の
既往などがあるようであれば胃酸の分泌を抑える内服薬(PPI)が効果的であることが多いです。
内服薬でおさまらない場合には外科手術が選択肢になる場合もあります。また一部国内施設での
先進医療ではARMS(Anti-reflux mucosectomy=逆流防止粘膜切除術)といった内視鏡治療も
試みられておりますのでご相談ください。

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