胃 腸上皮化生 のお話
2017/12/13
今回は胃カメラ(上部消化管内視鏡)所見のひとつである腸上皮化生についてです。胃カメラ受けて
レポートをもらいましたが、腸上皮化生ってなんですか?という疑問に解説です。腸上皮化生とはピロリ菌
感染による萎縮性胃炎(慢性胃炎)を伴い灰白色粘膜として観察されます。典型的には幽門部と前庭部に
みられる灰白色の扁平隆起であると言われております。そして腸上皮化生は進行すると胃体部にまで広がって
いきます。これはピロリ菌の除菌後も観察されるため、ピロリ菌の既感染でも観察されます。発生学的には
腸上皮化生は ピロリ菌の慢性感染により引き起こされた粘膜の変化で、胃粘膜を腸の粘膜のようにかえて
しまうことで、本来そこにない粘膜があることにより胃癌、特に分化型胃癌 の発生母地として以前より注目
されておりました。最新の論文ではピロリ菌感染者のうち背景粘膜に腸上皮化生のある方は胃癌の発生が
有意に高い(約2-6倍)という論文もあります。まずはピロリ菌の除菌が大切でもありますので、
腸上皮化生といわれましたがどうすれば?という方がいらっしゃりましたら是非ご相談ください。