大腸憩室症ガイドライン 昨年公開されました!
以前に院長コラムで触れたことのある大腸憩室症ですが、この度2017年12月に日本消化管学会
から大腸憩室症ガイドラインが公開されました。これで大腸憩室症にもエビデンスにもとづいた、診断と
治療が一般的なものとして広がっていくことになると思われます。今回はより詳しく大腸憩室症につき
(前回も詳しいつもりではありましたが・・・(^-^;)解説させていただきます。
大腸憩室症は欧米では60歳以上での憩室保有率は50%を超えると言われていますが、最新の統計では
わが国では52歳以上の方では大腸憩室症の保有率は23.9%でありました。また日本人の大腸憩室症の
保有率は増加傾向にあることが、国内の論文により明らかになっております。特に高齢者の男性に保有率
が高いです。わが国の大腸憩室の保有者の75%以上の憩室が右側結腸(盲腸、上行結腸、右側横行結腸)
にあるといわれており、それも年齢により変化して60%以上の憩室症保有者では憩室は左側結腸
にみとめられます。そのうち年率0.2%の人が憩室出血(憩室から出血してしまう)を起こし、
5年では2%、10年では10%の憩室症を持っていらっしゃる方が憩室出血を起こします。
また大腸憩室炎といって憩室に炎症を持ってしまう方はその3倍の数がいるといわれております。
大腸憩室が増加しているのと同様に大腸憩室出血も増加しております。2003年から2011年の
データでは2003年に大腸憩室保有者の1%の方が出血していた状況から、2011年には1.7%に
増加しておりました。また残念なことにそのうち1%の方は命を落としております、実は憩室炎も
憩室出血も命を落とすリスクも0ではない疾患なのです。
憩室出血のリスクファクターとしては肥満が有意差のあるリスクファクターとなっておりますがいつも
悪者な喫煙は今回はリスクファクターではないようです。
大腸憩室を持ってしまっているのは仕方がないとして、大腸憩室出血や大腸憩室炎の予防になるものや
薬はないのですかという患者さんの声をよく聞かせていただくのですが、現時点ではエビデンスのある有用な
予防法はないようで、今後の研究の進歩が待たれますね。