多発性骨髄腫 = 不治の病→治るかもしれない病へ

2018/05/21

あまりなじみのない疾患ではありますが多発性骨髄腫という疾患があります。年間約7000人が発症し
分類的には血液疾患に分類される悪性疾患で、血液細胞の1つである形質細胞(けいしつさいぼう)の癌です。
形質細胞とは、骨髄と呼ばれる血液の工場でつくられる血液細胞のうち、白血球の一種であるB細胞から
分かれてできる細胞で、この細胞は体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守ってくれる抗体
をつくる働きをもっています。この形質細胞が癌化して骨髄腫細胞になり、多発性骨髄腫を発症します。
診断されたが最後、自分が医学生の時代にはメルファランとプレドニゾロンという薬剤の併用療法でも
予後は半年とか1年とかと言われた病気でした。2008年にはサイリドマイドが
(院長の医学部卒業は2003年)承認され使える薬剤が増えたところに、2010年にはレナリドミド
が承認され、ここ3年間は新薬のラッシュアワー状態になり、2015年には免疫調整薬のポマリドミドや
ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬のパノビノスタットが承認。2016年にはカルフィルゾミブ、
エロツズマブ2017年にはイキサゾミブ、ダラツズマブが承認され、現在では薬剤の進化により
予後は3年~5年といわれる状況からさらに予後の延長も期待できる状況になっております。
現在もイサキツキシマブやベネトクラクスといった薬剤も開発中のようです。過去の不治の病は
現代には治る病に着実になってきておりますね!治療は大学病院や血液内科の専門科のある病院で
受けていただくのが基本(血液内科出身の先生のクリニックがあればそこはご相談かもしれませんが)に
なってきますが少なくとも当院では診断までは可能ですが、治療はご紹介させていただきますが医学の
進歩が肌で感じられるのは医者冥利にはつきますね。

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