胆石症 のお話
胆石症とは胆嚢や胆管に結石が形成される疾患で、日本人の保有率は40歳代で8%、60歳代で
15%と推定されております。胆石症のなりやすさとして女性、40歳代以上、白人、肥満、経産婦
がリスクが高いといわれており、近年の食事形態の欧米化により、増加傾向にあるといわれております。
胆石症は男性よりも女性に多いといわれておりますが、これはホルモンによる影響で血清エストロゲン
が胆汁中のコレステロール濃度を高めるためと考えられております。胆石症の分類には
コレステロール石(純コレステロール石、混合石、混成石)、ビリルビンカルシウム石、黒色石に
分かれておりそれぞれ成因は違います。胆石症は無症状のことも多いですが、症状がある場合には
右季肋部の痛みや吐き気、嘔吐、右背部痛などがあり、胆石胆嚢炎といったものになると発熱なども
合併してきます。胆石症の診断は超音波で95%以上わかるといわれており、CT、MRIなどでも
当然わかることが多いですが、簡便性からも超音波が第1選択となります。
引き続き胆石の治療についてです。胆石は症状なくもっていらっしゃる方もおられ
そのような方の胆石は、ガイドラインによると年1回の定期的な超音波によるフォローを受けていれば
基本的には、特に積極的な治療を行わないでよいことになっております。しかし何らかの症状
を有する場合(胆石発作を起こすことや胆嚢炎をおこすなど)は、胆嚢摘出術が推奨されております。
(最近は腹腔鏡下胆嚢摘出術が多いです。)ただし患者さんが手術を希望されない場合には、
ガイドライン上経口溶解療法や、体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)も検討することになっております。
経口溶解療法は、X線陰性結石に対して適応となるUDCA(ウルソデオキシコール酸)の内服のことで
ありますが、完全溶解率は約25~40%となっており著明に効果をあげる薬ではありませんが、
選択の一つにはなり得るものと考えられます。体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)に関しては
現在は以前よりは施行できる施設も限られておりここでは割愛させていただきます。
当院は超音波による診断も行っておりますので胆石でお困りの方はご相談ください。